6501決算分析

日立、通期純利益予想を9,200億円へ 電力網事業が利益上振れを支える

日立の2027年3月期上期は売上収益が17%増。通期の調整後EBITA予想を400億円引き上げ、うち330億円をエナジー部門が占める。上期純利益の減少と、電力網事業の成長を分けて見る。

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2027年3月期上期=2026年4〜9月。7〜9月期単独の数値は本文で区別。通期予想は2026年4月〜2027年3月。10月28日発表の決算資料を11月2日確認。

発表日: / 資料確認日:

日立の大型変圧器を増設し、データセンターへ電力を送る工事と受注案件の図面を描いたイラスト
AI生成イラスト

決算・発表データ

日立の上期実績と通期会社予想
指標金額・比率対象・比較
売上収益5兆6,140億円上期実績・前年同期比約17%増
調整後EBITA6,996億円上期実績・前年同期5,618億円
親会社株主に帰属する純利益4,166億円上期実績・前年同期4,729億円
売上収益予想12兆円通期会社予想・従来比+3,000億円
調整後EBITA予想1兆5,600億円通期会社予想・従来比+400億円
親会社株主に帰属する純利益予想9,200億円通期会社予想・従来比+200億円

億円未満を四捨五入。調整後EBITAは会社定義の利益指標で、調整後営業利益や純利益とは異なる。上期実績と通期予想を同じ期間の数字として比較しない。

出典:[1] 日立|2026年9月末中間連結決算(英語版、2ページ) / [2] 日立|2027年3月期 第2四半期決算説明資料(3〜6・16ページ)

利益予想の増額はエナジー部門が中心

日立は10月28日、2027年3月期の純利益予想を9,200億円へ引き上げた。従来予想から200億円の増額となる。売上収益予想は3,000億円増の12兆円、調整後EBITA予想は400億円増の1兆5,600億円とした。

調整後EBITAの増額400億円に対し、エナジー部門の引き上げは330億円。単純計算で増額幅の82.5%に相当する。デジタル事業への期待だけでなく、送配電を中心とする実際の設備需要が、今回の利益予想を押し上げている。

出典:[2] 日立|2027年3月期 第2四半期決算説明資料(3〜6・16ページ)

通期の調整後EBITA予想を400億円引き上げ億円

対象はともに2027年3月期通期(2026年4月〜2027年3月)。会社予想の改定比較で、実績の成長率ではない。従来予想は今回1兆5,600億円−公表増額400億円=1兆5,200億円。

出典:日立|2027年3月期 第2四半期決算説明資料(3〜6・16ページ)。市況日和作成。

チャートの数値を表示
通期の調整後EBITA予想を400億円引き上げ(億円)
項目・期間調整後EBITA予想
従来予想15,200
10月28日予想15,600

エナジーの売上32%増、受注は66%増

上期のエナジー部門は、売上収益が1兆8,723億円で前年同期比32%増、受注額が3兆4,725億円で66%増だった。会社は欧州の大型HVDC(高圧直流送電)案件、データセンター向け受注、送電設備の需要を受注増の要因に挙げている。

同部門の調整後EBITA率は14.7%で、前年同期から2.5ポイント改善した。会社の説明では、販売増による効果や製品・案件構成、生産・工事の遂行状況などが寄与した。円換算の影響もあるため、円建ての32%増収を、そのまま現地通貨での成長率とはみなせない。

デジタルシステム&サービス、モビリティ、コネクティブインダストリーズも上期は増収だった。その中で、エナジーの伸びが突出している。

出典:[2] 日立|2027年3月期 第2四半期決算説明資料(3〜6・16ページ)

上期の増収率はエナジーが突出%

2026年4〜9月累計。会社公表の円建て増収率(整数丸め)。DSSはデジタルシステム&サービス、CIはコネクティブインダストリーズ。為替や組織再編の影響を除いた成長率ではない。

出典:日立|2027年3月期 第2四半期決算説明資料(3〜6・16ページ)。市況日和作成。

チャートの数値を表示
上期の増収率はエナジーが突出(%)
項目・期間売上収益・前年同期比
DSS10
エナジー32
モビリティ18
CI11

上期の最終減益には、前年の売却益が重なる

上期の親会社株主に帰属する純利益は4,166億円で、前年同期の4,729億円を下回った。一方、調整後EBITAは5,618億円から6,996億円に増えた。最終利益と事業の利益が逆方向に動いている。

7〜9月期単独では、会社が空調合弁事業の前年売却に伴う影響を示している。純利益の前年同期差は534億円の減少だが、前年の売却に関する影響917億円を除けば383億円の増益だったという。これは7〜9月期についての会社試算で、4〜9月累計の調整額ではない。

前年に大きな売却益があれば、その反動で最終減益になる。反対に、調整後利益が伸びても、株主に帰属する利益や現金収入が同じ割合で増えるとは限らない。今回の減益を本業の失速と同一視するのも、調整後指標だけで減益を無視するのも早計だ。

出典:[1] 日立|2026年9月末中間連結決算(英語版、2ページ) / [2] 日立|2027年3月期 第2四半期決算説明資料(3〜6・16ページ)

膨らむ受注を、利益と現金に変えられるか

エナジー部門の上期受注額は売上収益を大きく上回った。これは将来の仕事量を支えるが、受注した金額がすべて今期の売上になるわけではない。大型送電案件では、設備の生産と工事を進め、契約に沿って売上を計上する必要がある。

会社は下期もエナジーを中心に設備投資を続ける方針だ。受注が伸びる局面では、生産能力の増強と採算の維持を両立できるかが重要になる。今回の上方修正は電力網需要の強さを示したが、増えた案件を予定どおり納める段階まで含めて業績を追う必要がある。

出典:[2] 日立|2027年3月期 第2四半期決算説明資料(3〜6・16ページ)

よくある疑問

日立の上期は減益なのに、なぜ通期予想は上方修正された?

上期の純利益には前年の売却益などとの比較が影響する。一方、調整後EBITAは増加し、会社は主にエナジー部門などの利益見通しを引き上げた。上期実績と下期を含む通期予想は別の期間の数字になる。

出典・参考資料

[1] 日立|2026年9月末中間連結決算(英語版、2ページ)発表:2026.10.28[2] 日立|2027年3月期 第2四半期決算説明資料(3〜6・16ページ)発表:2026.10.28

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