米国株Anthropic / 米国企業決算分析

アンソロピック、売上169.56億ドルでも営業赤字 調整後利益との30.3億ドル差

アンソロピックの2026年7〜9月期売上高は前年の約12.3倍。営業損失5.67億ドルと調整後営業利益24.63億ドルの違い、計算資源費用の増加、前四半期との採算比較をSEC提出資料から読む。

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対象:2026年7〜9月の単独四半期。前年同期は2025年7〜9月、前四半期は2026年4〜6月。11月2日提出のS-1/Aを11月3日に確認。金額は米ドル。

発表日: / 資料確認日:

Anthropicへの仕事の増加とサーバー運用の負担、異なる利益指標を象徴する2冊の帳簿を描く概念イラスト
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決算・発表データ

アンソロピックの2026年7〜9月期
項目実績比較・補足
売上高169.56億ドル前年同期13.82億ドル
計算資源・インフラ費用98.63億ドル前四半期55.58億ドル
GAAP営業損益−5.67億ドル前四半期は9.74億ドルの黒字
調整後営業利益24.63億ドル前四半期22.35億ドル
株式報酬費用10.70億ドル調整後営業利益では除外
非現金の寄付費用19.60億ドル調整後営業利益では除外

S-1/Aの未監査四半期損益表・非GAAP調整表(161、164ページ)。原表の単位は百万ドル。100で割って億ドルへ換算した。累計9カ月の数字ではない。

出典:[1] Anthropic|S-1/A(表紙、161〜164ページ:四半期損益・費用・調整後利益)

売上は前年の約12.3倍、前四半期からも46.7%増

アンソロピックが11月2日に提出したS-1/Aによると、7〜9月期売上高は169.56億ドルだった。前年同期の13.82億ドルに対し約12.3倍。4〜6月期の115.55億ドルと比べても46.7%増えた。

前年との比較は立ち上がり期の小さな売上を基準にするため、大きな倍率になりやすい。前四半期比でも拡大した点は押さえつつ、その伸びがどれだけ利益に残ったかを分けて考える必要がある。

出典:[1] Anthropic|S-1/A(表紙、161〜164ページ:四半期損益・費用・調整後利益)

四半期売上高は169.56億ドルへ拡大億ドル

S-1/A 161ページの単独四半期売上高。原表の百万ドルを100で割った。累計・年換算売上高ではない。前年倍率=16,956÷1,382≒12.3倍、前四半期比=(16,956÷11,555−1)×100≒46.7%。

出典:Anthropic|S-1/A(表紙、161〜164ページ:四半期損益・費用・調整後利益)。市況日和作成。

チャートの数値を表示
四半期売上高は169.56億ドルへ拡大(億ドル)
項目・期間四半期売上高
2025年7〜9月13.82
2025年10〜12月20.4
2026年1〜3月47.31
2026年4〜6月115.55
2026年7〜9月169.56

営業赤字と調整後黒字の差は30.30億ドル

米国会計基準(GAAP)の営業損失は5.67億ドルだった。一方、会社が示す調整後営業利益は24.63億ドル。両者の差30.30億ドルは、株式報酬10.70億ドルと非現金の寄付費用19.60億ドルを足し戻すことで一致する。

式は「−5.67+10.70+19.60=24.63」(億ドル)。調整後の黒字は、営業赤字という会計上の結果を取り消すものではない。現金支出を伴わない費用であっても、株主への影響や会社の経済的負担がないとは限らない。

出典:[1] Anthropic|S-1/A(表紙、161〜164ページ:四半期損益・費用・調整後利益)

GAAP営業損失から調整後営業利益への調整
段階・項目金額扱い
GAAP営業損失−5.67億ドル出発点
株式報酬+10.70億ドル費用を足し戻す
非現金の寄付費用+19.60億ドル費用を足し戻す
調整後営業利益24.63億ドル上記3項目の合計

最終行は計算結果であり、ほかの行と重ねて合計しない。営業利益の調整で、純利益・キャッシュフローの計算ではない。

出典:[1] Anthropic|S-1/A(表紙、161〜164ページ:四半期損益・費用・調整後利益)

計算資源費用は77.5%増、売上の伸びを上回る

計算資源・インフラ費用は98.63億ドルで、前四半期の55.58億ドルから77.5%増えた。売上高に占める比率は会社公表の丸め値で48%から58%へ上昇。売上の46.7%増よりも速いペースで費用が増えた。

会社は、7〜9月期に短期契約による計算資源の費用50億ドルが含まれ、同等の長期契約より高コストだったと説明している。非現金の寄付費用だけでなく、計算資源の調達条件も採算を左右している。

調整後営業利益は22.35億ドルから24.63億ドルへ10.2%増えたが、売上高で割った利益率は19.3%から14.5%へ低下した。売上が伸び、調整後利益の金額が増えても、採算が改善したとは限らない。

出典:[1] Anthropic|S-1/A(表紙、161〜164ページ:四半期損益・費用・調整後利益)

調整後営業利益率は前四半期から低下%

調整後営業利益2,235/2,463百万ドルを、売上高11,555/16,956百万ドルでそれぞれ割り100倍。小数第1位に丸めた独自計算。会社公表の整数丸めは19%/15%。GAAP営業利益率ではない。

出典:Anthropic|S-1/A(表紙、161〜164ページ:四半期損益・費用・調整後利益)。市況日和作成。

チャートの数値を表示
調整後営業利益率は前四半期から低下(%)
項目・期間調整後営業利益÷売上高
2026年4〜6月19.3
2026年7〜9月14.5

調整後利益を、純利益や上場完了と混同しない

同じ四半期の最終損失は232.91億ドルだった。営業損益より大きいのは、転換社債・デリバティブ負債などの公正価値変動による費用219.36億ドルを含むためだ。この最終損失を、そのまま同額の現金流出と読むこともできない。

今回の資料は上場に向けた登録届出書の修正版。表紙にはNASDAQへの上場申請と予定ティッカー「ANT」が記されているが、公募価格などは空欄の予備目論見書である。この提出だけを根拠に、上場済み・売買可能とは扱わない。

事業を見るうえでは、売上成長に対して計算資源費用がどの程度増えるかが次の焦点になる。調整後利益率とGAAP損益の両方を追えば、利用拡大が採算につながっているかを捉えやすい。

出典:[1] Anthropic|S-1/A(表紙、161〜164ページ:四半期損益・費用・調整後利益)

出典・参考資料

[1] Anthropic|S-1/A(表紙、161〜164ページ:四半期損益・費用・調整後利益)発表:2026.11.02

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